2012年12月28日金曜日

初期アヴァンギャルド映画 

初期アヴァンギャルドで有名なのを二作

「アンダルシアの犬」
ダリとブニュエルの共作
一切の説明性を排除し、性と殺人の映像を作り上げた

特に冒頭で目を切るシーンはかなり見物でしょ

「午後の網目」

そんな数見てないけど僕が知ってるアヴァンギャルド映画の中でこの作品を超える物はないです

監督兼主演のマヤデレンが窓枠でたたずむシーンはゴダールなんかの巨匠もオマージュしてるらしい

女性は結局一度も場所を動かずに夢の中で殺意を生んで自殺するんだけど、黒服を着た鏡が顔の人とかデジャブ的な映像効果とか人を引き込む力がある

音楽は日本の音楽だけどこれも怪しい感じで合ってる

2012年12月23日日曜日

現実と妄想

現実と妄想が曖昧になって主人公がそれを行き来する映画は一つのジャンルになっても良いはずだけど、なかなかまとめられていない

今日は自分が見たやつを中心に現実と妄想映画を挙げていく

「オールザッツジャズ」

ジョージベンソンの曲から始まり、ブロードウェイの裏側を覗ける

舞台演出家の主人公が現実と妄想の狭間をさまよって自滅していくんだけど、ラスト死の直前のステージシーンは圧巻

ミュージカルになってるからかなり楽しめる


「ジェイコブスラダー」
ティムロビンス主演のサスペンススリラー
若きマコーレカルキンも出演してるよ

ベトナム戦争にいた主人公は森で腹部を刺され倒れるが次の瞬間NYの地下鉄で目を覚ます

現実と妄想の間をさまよう彼は何者かに追われれるが・・・

 

「未来世紀ブラジル」
前にも紹介したので説明は省く
予告は途中のカラーシーンから見ることをおすすめする

ロバートデニーロの出演にエイゼンシュテインのオデッサの階段のオマージュなど見どころ満載

池内いわくどんな管理社会でも妄想は許容されうるっていう設定の映画らしい


「赤い影」
これも妄想と現実

ヴェニスっていう街は結構不気味で、同様に不気味な「ヴェニスに死す」も理想と現実をテーマにしている点で妄想と現実に近い設定だ

これはそんなに楽しめないと思うから予告だけ









おすすめ

今回は単に思いつきでいくつか「大人の作品」を簡単に紹介しようとおもう

「チャイナタウン」
ジャックニコルソン主演の名作フィルムノワール
フィルムノワールはユダヤ系移民によって制作された、ハリウッド古典を盛り上げた一つのジャンルです。
フィルムノワールの簡単な定義は「ファムファタールという女の存在によって男が自滅に進む」というもの。本作品は全盛期からは少し後にフランスとポーランド国籍を持つロマンポランスキーによって制作されている。

「ジャンル」は複数の映画群が持ち合わせる指標性(客観的事実)から成るが、フィルムノワールの指標性は「影」や「暗い雰囲気」、「トンレンチコート」、「ギャング」などがあげられる。

サスペンスと恋を折り合わせたストーリーとラストの展開は最高に大人


「ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」
落ちぶれたジャズブラザーと才能あふれる女性シンガーの出会いと別れ、成功と挫折を描いた映画である。
非常にシンプルなプロットなのに心に残るのは女性シンガーを演じるミッシェルファイファーの存在である。

雰囲気はもちろんのこと、挿入される曲もコピーであるからかなり楽しめる。弟役演じるジェフブリッジスは僕が幾度となくおすすめしてきた「ビッグリボウスキ」の主役。おそらくアメリカでかれを知らない人はいない。

落ち着いたジャズの雰囲気は最高に大人


「ラウンドミッドナイト」

ブルーノートを代表するデクスターゴードンはこの映画の主演によって役者としての道を確固たるものにし、アカデミー主演男優賞を受賞する。

2年前に見たのでストーリーはよく覚えていないけど、とにかく印象的なシーンが多く忘れられない。これに憧れてアメリカのジャズの街を訪ねたけれど、この映画の独特の雰囲気はやっぱり映画でしか味わえない。(全く違う現実を見て所詮映画は虚構の世界って感じました)

特に印象的なのは海岸にデクスターゴードンが座っているシーンなんだけど、すごく表象的です。
この後彼は「レナードの朝」にも出演するがそちらも必見

ゴードンの存在と彼が生み出すジャズの音色とストーリーはかなり大人

「セックスと嘘とヴィデオテープ」
主人公の女性と夫はセックスレスで、夫は主人公の妹と浮気をしている。

彼らの嘘と欲望が一人の男が撮影する「ヴィデオテープ」によって露になっていく。。。。大人。。。

観客はここで奇妙な体験をする。なぜならヴィデオテープを見る登場人物の姿を我々もまた「見る」のだから。この三重構造によって、登場人物がテレビの画面内に人間性を見ることを通して観客が人間性を見るという結果を招く。

「見る」ということを通じてこの映画は映画自体について言及している。そして観客はまるでヒッチコックの裏窓のように彼らを覗くのだ。

「黒いジャガー」
ソウル好きなら、臭いアクション好きならこの作品は必見だろう。

調べるとブラックスプロイテーションという70年代の黒人映画ジャンルを代表する作品だ。

グリフィスの「国民の創生」など、映画史で黒人ほど排斥され、またその事実がいまだ明るみに出ていない存在もないと加藤斡朗は「映画とは何か」の中で語っている。

かつて黒人専用の映画館が存在したことはあまり知られていない。しかし白人達が低予算の黒人映画を土台に大作を作り上げてきたという事実は、黒人映画が今日におけるハリウッド映画を作り上げたことが指摘されている。

60年代の公民権運動、ベトナム反戦運動はそういう時代を取り去った。保守とリベラルがせめぎ合う社会の中でこういった黒人映画が明るみに出たことは尊敬に値する。

この映画はそんなに大人じゃないけど、必見